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「たぁ~まやぁ~………ねぇすーちゃん、たまやってなにー?」
「江戸時代の花火師の屋号で、元々玉屋は鍵屋から暖簾分けした分家で鍵屋を凌ぐ…」
「かぁ~ぎやぁ~」
「聞け」
「ボクねぇ、ひゅ~って昇ってちっちゃいのがいっぱい弾けるタイプのが好きぃ~」
「…そうか、良かったな」
「ふふ腐、何気にチャラ男会計と番犬会計もボケとツッコミで美味しいねっ加藤くん」
「だねぇ~!あっ見て軽田!向こうで1Aの古屋と保河がいい雰囲気!」
「腐男子受けも美味しいねっ勿論自分は除く!」
「勿論だよねっ!」
「「ああっ!木崎様と眞城様がイチャイチャしてるー!」」
「…あのカメラを構えた子たちは…新聞部ですね?こんな時にも仕事熱心なんですね」
「そうだねー。いやあ、中々の絶景だなー」
「ええ、こんなに沢山の花火が打ち上げられるのを見るのは初めてです」
「おお。向こうでなんかいい雰囲気」
「雰囲気?」
「たまやだなー」
「…たまやな雰囲気ですか」
「ところで氷呂、さっきから伊瀬先輩の殺意の視線が鋭すぎて穴が開きそうなんだけど、そろそろ俺は離脱してもいい?
シャツを離してくれたら嬉しいな」
「今私を一人にしないでください…」
「もう観念して行ってこいよ」
「…む、無理です…伊瀬の目が恐いです」
夜空に咲く大輪の花火に照らされて、不機嫌MAXな顔でこちらを睨む伊瀬の顔付きが見たことのない凶悪さで近付きたくない。
「氷呂、手招きしてるぞ」
「私には何も見えません」
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