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楽しかった二泊三日の旅行も無事に…とは言い切れないがひとまずは終わり、東雲学園御一行様はこのまま海外の別荘へと移る一部の生徒を除き全員無事に関東空港へと辿り着いた。
「で?氷呂は夏休みどうすんの?」
スイスの別荘に連れていくだの夏休みは家族水入らずで過ごすのでお呼びじゃないだのと、夏休みの予定についてなにやらもめている教師陣はさておき、迎えの車を待ちながら、昨日からやけにスキンシップ激しくべったりと貼り付いている眞城が頭をぐりぐりと撫でながら尋ねてきた。
「冬や春と同じ、このまま寮に戻って過ごすつもりですよ」
帰ろうにも帰る家のない氷呂は、長期休暇の間は寮で生活をしている。
長期休暇でも実家に帰らない生徒は一定数存在していて、最低限の職員や施設の従業員は学園に残されているので生活には困らない。
「うーん…昨日の今日で一人学園に残すのも不安なんだよなあ…」
「だったら、俺のうちにくるか?」
「…璃王?」
七桜の夏休みの予定を聞き出したらしく、満足そうな顔で声をかけてきた璃王に首を傾げる。
「てっきり七桜との邪魔をするなと言われると思っていましたが」
「以前から兄貴が今度お前を連れてこいって煩かったからな
休みの間あの人の相手をしてやってくれ」
璃王の兄とは、先代生徒会長の御剣玲王の事。
去年の事件の際、なぜかいたく気に入られてしまったらしく、それ以来、将来玲王の秘書にならないかだのなんだのとなにかにつけて勧誘されて口説かれている。
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