夏だ旅行だ王道だ!

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関東空港。 一日平均、約18万人の利用がある大空港。 その利用客の中の、数百人の大団体が色んな意味で目立っていた。 「おいコラガキども!騒ぐんじゃねえ! 騒ぐんなら置いてくぞ!てめえの金で一人で来い!」 「脅しじゃねえぞー。布施せんせーは出発前から、『半分ぐらい置いていっていいんじゃねえか』ってぼやいてたぞー」 「そう言う犬飼先生も同意してたぞー。置いていかれたくなけりゃ、黙れくそガキ」 見るからに高価そうなスーツを身につけ、銀髪の王子様とみまごうような美形が面倒臭そうに壁に凭れながら声を上げると、 隣に立つ、夏だと言うのに全身黒の服を着、その癖やけに爽やかな雰囲気の長身の男が同調する。 最後に、金髪に赤のメッシュ入れた髪を派手に盛り、アロハシャツにサングラス。と、完璧に旅行モードの男がじゃらじゃらと下げたアクセサリーを鳴らしながら片手を挙げて、自分へと注目を集める。 事情を知らない者が見れば、ホストの慰安旅行。好意的に見ればアイドルの旅行ロケ。 しかしてその実態は、高校の引率の先生。
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