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身体の至るところに付けられた痕全てに上書きしようとでもしているのか、肌の上に歯を立てて強く吸い付く唇に身体の奥に痺れが広がっていく。
「っ…ぁ、も…最悪、だ…」
目に見える位置だけでも数えるのも嫌になる程の痕が広がっていて、当分水場には近付けそうにない。
「失敗したな。最初からこうしとけば、余計な目に会わせなくてすんだのに」
「っあ!あんまり変な場所に…ぃっ!」
「っ、痛ってぇ」
太股の内側の皮膚の薄い部分を吸われ、思わず脚が跳ねて伊瀬の肩を蹴り付けてしまい、恐る恐る視線を向けると邪悪な笑みを浮かべる伊瀬と目が合ってしまった。
「わ、ざとじゃ……」
「ああ、解ってる」
解ってる…
いや、解ってない。解ってるかもしれないけど解ってくれてない。
どうしてくれようか。と笑ってない目が口以上に物を言っている。
「解ってるから、いい子にしてろよ」
低く囁いた声と脚を撫でる掌の動きが昨夜の出来事と重なって、何故か体温が上昇したような気がした。
それもこれも、飲まされた薬かさっきのアルコールのせいだ。
そう思うと少しだけ気分が楽になって、身体の力が抜けた。
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