海と嫉妬と絶体絶命

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※side 伊瀬※ ◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 「氷呂が襲われました」 突然海で絡んできたバカ共を潰して、砂だらけになった体をシャワーで流そうとホテルに戻ったところで出会した五光に殴り倒され、風紀委員長様に似つかわしくない絶対零度の眼差しで見下された。 「貴方のような、本来なら口を利くのも憚られるような一般生徒ごときが氷呂に付き纏っていたおかげで、今まで大人しかった連中を刺激したんです いざと言うとき守れも責任も取れないのに、軽々しく氷呂に触れるな」 殴られた拍子に切れたのか、口の中に広がる血の味がする唾を吐き出して睨みつける。 「…軽々しくじゃねえよ」 「なら尚更悪い 本来なら風紀の権限を全て駆使して学園から追い出してやりたいところですが…」 何かを言いかけて言い淀んだ後、舌打ちをして背中を向けて廊下を立ち去っていく。 「…襲われた、って」 ぴりぴりと痛む口の中に眉を寄せると、五光が消えた廊下の反対側からテンションの高い聞き覚えのある声が聞こえてきた。
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