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それは国連主導の下、国や地域を越えて組織された、ある意味「地球防衛軍」の名前だ。
彼らは宗教も国境も民族も、全てを超えて配置され、この地球という地を守っている。
何から?
―――異次元の侵略者たちからだ。
西暦20XX年。
とある国のとある企業が、世紀の大発明をした。
その名も「次元転移装置」。SF映画なんかでよく見る、アレだ。
間に亜空間、もしくは異次元を挟むことで距離をカットして、物質を瞬時に希望の場所へ送り届ける。
物流のシステムを革命するその発明に、世界は驚喜し、沸き上がった。
汎用にはまだ遠かった。
けれどその為の実験は繰り返し繰り返し、安全性を確保して成功率が百パーセントになるまで行われた。
その結果。
次元を隔てる「壁」を、無理に何度も切り裂いた事で、壁は損傷してしまった。
そして時折、「穴」が空くようになってしまった。
さあ大問題だ。
何せ異次元には、そこに住む生物がいたのだ。
彼らは悪気なく空いた「穴」から顔を出し、悪気なくそこに居た人々に危害を加えた。
それに対抗する機関として立ち上げられたのが、SDOなのである。
「そりゃSDOも発表なんかしないよ。これは僕個人が趣味で追っかけてる事だから」
怪訝そうな顔で自分を睨む友人に、苦笑しながら陽良は告げる。
手元には、ここ十年の次元壁損壊事例―――つまり、他次元生物の出現事例―――がぎっしりと書き込まれた書籍がある。
「追っかけ?研究じゃなくてか?」
ぱらり、ページを手繰りながら、陽良はもう一度苦笑した。
「研究はパワードスーツの軽量化でしょ。僕もお前も、何の為に機械工学で院まで進んだのさ」
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