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喉が渇いた。
身体は水を、欲しがっている。
でも、僕は探さなかった。
僕にとって、今探さなければいけないものは、それではないからだ。
でも、なかなか見つからなくて……
思い返すと、歩きっぱなしだったことに気づく。
どうりで喉も、渇くわけだ。
疲れた。
正直、もう歩きたくない。
でも、時間は刻一刻と迫っている。
休んでいるわけにはいかないと、自分を奮い立たせる。
……
思えば、僕の生きてきた証はあるのだろうか。
ふと、そんなことを思った。
何気なく過ぎ去った毎日を思うと、僕は、ごくごく平凡な時間を過ごしてきた。
何も…自分が残してきたものが無いのではないか。
怖くなった。
自分の“今まで”が、無駄なように思えて……
でも、僕は、生きてきた。
平々凡々としていたけれど、間違いなく、歩いてきた。
誇れるものは、何も無い。
でも、それでもいい。
何故なら、よくよく考えてみると分かる。
『タンジュンニ、タノシカッタ』
……
だから、柚美ちゃんに伝えたい。
辛くてもいい。
辛くてもいいから、とにかく命は大切にして欲しい。
信じることができなくても、必ずあなたのことを見守ってくれる…
そんな人が、必ずあなたの前に現れるはず。
だから、どうか、自分を信じて…
……
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