どこにでもいる普通の高校生だ。

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俺は神楽 悠斗。どこにでもいる普通の高校生である。というテンプレな感じに始めたいのだがそうもいかない。というのも俺は普通の高校生ではないからだ。何が普通じゃないかと言えばそもそも物語の主人公な時点で普通じゃねえよ、みたいなことではなく、俺が異世界に召喚されたからである。 俺は立ち位置的に言えば巷で噂の脇役主人公に近い。つまり、いるのだ。王道主人公みたいな奴が。そして今回、異世界へ召喚されたのは俺だけではなくその王道主人公、水瀬 明も一緒に召喚されたのだ。 *** 新入生も高校生活に大分慣れた7月。夏休み目前で遊ぶことばかり考えていた俺たちは下校途中に突然足元に浮かんだ魔方陣に驚いているうちに異世界へと召喚された。 「うおー、何だったんだ今の。」 まず見えたのはローブ集団。しかも全員フード被ってるせいで顔が見えねえ。なんの黒魔術だ、これは。地味に怖。とりあえず落ち着け俺。もちはつかなくていいから落ち着け俺。まず目の前の宗教団体(仮)は放置して状況把握だ。いいか。下校してるとき突然足元に浮かんだ魔方陣みたいなもの。そして気付けば建物の中にいて周りには怪しい人。とどめにその怪しい人たちが口々に言っている"勇者様"。 あ、これ完璧勇者召喚だわー。私たちの世界を救って下さい、みたいなやつだわー。 とりあえず状況は分かった。じゃ、次どうしよっかー。なんて考えてると 「俺が勇者だ!」 なんて声が聞こえた。隣から…。いや、おい待てこら。なんかざわつきだしたじゃねえか。あ、1人こっち来た。 「あ、貴方様が勇者様であられますか?」 フードをとって恐る恐るといった感じで話し掛けてきたのは美少女だった。え、どんな美少女かって?背中くらいまである金髪の美少女だよ。あれだよ、この国のお姫様的なやつ。たぶんな。そして話し掛けられた自称勇者もとい水瀬 明は眩しすぎる笑顔で言い放った。 「ああ、俺が勇者だ!」
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