どこにでもいる普通の高校生だ。

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アキラの眩しい笑顔がぺかーと放たれると同時に、この場にいる人たちの中でふらりとまるで腰が抜けたかのようになる人が続出した。……おちたな。この王道主人公の笑顔にこの場の女性はやられたのだ。もしかしたら男も少数いるかもしれんが。そしてそれはお姫様(仮)も同じらしく顔を赤く染めふらっと倒れそうになる。そんなお姫様(仮)を咄嗟に支えるアキラ。そして相変わらずのキラースマイルでお姫様(仮)に話し掛ける。 「大丈夫?具合が悪いのか?」 「えっ、あ……いえ、その、だだだ大丈夫です。」 顔を真っ赤にして胸の前で両手を振りながら答えるお姫様(仮)。とりあえずこの状況を傍から見ていても面白くないので動かしにいく。 「おい、アキラ。馬鹿やってないで次いけ次。」 するとアキラがその無駄に輝いている笑顔のままこちらを向き口を開く。 「ずっと俺のターン!」 「いいから、先いけ。」 「ユウトがツンデレだ……!」 「いつデレた。」 「じゃあ、ツンツン。」 「髪型みたいになったな。いいからさっさと話を進めろ。」 「えー」 「えー、じゃねえよ。ボケには今度付き合ってやっから。」 「ユウトがデレた!」 「そのままヤンデレ化して殺してやろうか?」 「話進めます。」 「よろしい。」 自分で話を進めないのはまあ、今までの経験からである。こういう場合お姫様(仮)に話し掛けても相手にしてもらえない。アキラに夢中だから。だからあいつに任せる。 ここからは割りとテンポよく話が進んだので割愛するが、やはり魔王倒して下さいということらしい。 「詳しい話は場所を移してさせて頂きます。お二人ともご案内しますのでので着いてきて下さい。」 そう言ってお姫様(仮)もといローラ・ファンダリア王女は踵を返して歩いていく。俺たちもその後をついていく。しばらく歩くと物凄く大きい扉が見えてくる。扉の側には警備兵がいてローラ王女が見えると姿勢を正し敬礼する。 「勇者様とそのお連れの方をお連れしました。」 そう言うと扉がギギギと音をたてながら開く。とはいえ全部は開かないみたいだ。ちなみにお連れの方とは俺のことだ。そういう扱いにしてもらった。
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