4/6
前へ
/6ページ
次へ
「キミの場合は……言わなくてもわかるでしょ?  別々の要因を組み違えたその結果が今のキミなんだから。まあ、わからなくはないよ。突発的な怒りに任せて呪いをした翌日、対象だったあの子は事故にあった。そりゃ、キミが原点だって考えてもおかしくない」 「……違うってのか」 「そういい切れたらワタシはここにいないよ」  予防線を張るような言葉。  ……確かにそうだ。  今日、幼なじみが交通事故に遭った。意識は未だ戻らず昏睡状態が続いているだとか。  アホらしいと笑われるかもしれないが、僕はそれを自分のせいだと考えている。  昨日、喧嘩をしたんだ。  確かほんと些細なこと、今では思い出せない、その程度の原因だった。それでも煮え切らなかった僕は、やけっぱちな気持ちでいわゆる『呪い』とかいうものをやってしまった。ただの憂さ晴らしだったし、明日になれば謝るつもりだった。  ……馬鹿らしいのはわかっている。だけど幽霊がいて、呪いがないなんてどうして言えるのか?  僕が、僕の意識が、僕の呪いが、事故を引き起こしたんじゃないのか? 「さて、もう一度聞くけどキミは今死にたい?」  答えられない。  そうだ、と返事をしたいのに口が固まって、喉が干上がって、犬笛でも吹くかのようにただヒューヒューと僕の呼吸だけが聞こえる。 「ふー、参ったな」  彼女は困った様子でポリポリと頭をかいた。 「最初から無いものを無いと証明するのはひどく骨折りなんだよ。宇宙を三周してもお釣りがくるくらい。  だから、これだけ言っておくよ。キミは悪くない。キミのせいじゃない。これは希望的観測なんかじゃないし、ましてやただの戯れ言だとか妄言だとかそんなものじゃないよ。確かに証明はできないし、そもそもワタシという存在自体が不確かだけど、これだけは絶対なの。  もう一度いうよ。キミは悪くない」 「でもっ、僕が!」 「もし呪いが本当にあるなら、ちょっと憂さ晴らしなんて覚悟じゃ起こせないよ」
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加