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それは私にとって精一杯の拒絶だった。
・・・言いたくない。
その言葉さえ口にできない私は、ミケの言葉を切り札にした。
これ以上、ミケが何も聞けないように・・・。
これ以上、私が何も答えなくていいように・・・。
愚かな私は、それが唯一、自分を護る術だと信じて疑わなかった。
まっすぐに私を見つめる、茶色いビー玉のような瞳から、私は無意識に視線を逸らした。
流れる沈黙の時間。
その時間を私はとても長い時間に感じた。
実際は、1分にも満たなかったと思う。
その短い時間をとても長く感じたのは、私にやましい気持ちがあったからなのかもしれない。
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