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「うん」 「それってミケの名前と同じだね」 「そうだよ。 俺が持ってた翼は?【も】げちゃったから、代わりにこれを彫ったんだ」 「?げた?」 「うん」 ミケは腕をまわすと“翼”を愛おしそうに撫でた。 意味不明にしか聞こえないミケの言葉。 だけど私にはミケの言いたい事がなんとなく分かったような気がした。 美しい羽という意味を持つ私の名前。 だけど、私が持っていた羽は醜くて粗末な羽。 その羽じゃ空へと羽ばたくこともできなかった。
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