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ただ、ミケの前でだけは最後までまともな自分でいたかった。
私は、閉じていた、瞼をゆっくりと持ち上げた。
眩んだ視界が白く染まる。
それが色を取り戻し、一番に見えるのはミケの心配そうな顔。
その顔を見つめながら、私は最後の言葉を吐き出す。
「――…ミケ、バイバイ…――」
その刹那、ミケの綺麗な茶色い瞳がより一層大きく見開かれた。
そんなミケの脇をすり抜け、私はドアに手を掛ける。
…良かった。
ミケだけにはちゃんと最後のお別れが言えて…。
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