9話

私は背後から強く抱きしめられた。

ふわりと漂う甘い香り。

上半身に絡み付く筋肉質の腕。

背中に感じる温もり。

「…美羽…」

鼓膜を刺激するのは低くて艶やかな声。

「…もう、聞かねぇーから…」

「…」

「美羽が言いたくねぇーことは絶対に聞かねぇー」

「…」