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「女の子は母親が望む進路【みち】を着実に歩んで行った」
「…」
「母親は娘を誇りに思い、女の子も母親が喜んでくれるのがとても嬉しかった。その頃は順風満帆だったんだと思う」
「…」
「だけど、全てが望み通りに進む人生なんてどこにもない」
「…」
私は静かに瞼を閉じた。
脳裏に浮かぶのはあの日の出来事。
まだ、寒さの厳しい季節だった。
朝から空にはどんよりと重たい灰色の雲が広がっていて、チラチラと真っ白い雪が舞い落ちていた。
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