16話

「意味分かんない」

「そう？」

「じゃあ、実感中」

「はい!?」

ミケは狼狽える私に構う事無く背中に手をまわすとギュッと抱きしめ、肩に顔を埋めた。

「彼女が出来た幸せを実感しようと思って」

ミケが喋るたびに、首筋に吐息がかかりくすぐったくて仕方がない。

一生懸命、身を捩りそのくすぐったさから逃れようとしていたけど

「ミュウ、大好きだよ」

甘くて低い声に完全に動きを封じ込められた。

ミケの体温が私を包み込む。

晴れ渡る空に、清々しい空気。

校庭からは、生徒達の声が聞こえてくる。

爽やかな風が私の頬を一撫でした。