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『あの顔で微笑みかけられたら鼻血出るかも』
『2年とか3年の先輩の中にも、如月君のファンが急増してるって』
『ヤバッ!! ライバルが増えちゃうじゃん!!』
女の子達の下品な笑い声が耳に響く。
『如月君に惚れられるなんて、榊原さん羨ましい』
『いい男捕まえたよね』
もう私には女の子達のその言葉を否定する気にもなれなかった。
『てか、どこで知り合ったの』
『どっちから声かけたの?』
女の子達は私に問い掛けているんだろうけど、説明する気にもなれない。
きっと、彼女達は私とミケ自身にはさほど興味がないんだと思う。
だから、私とミケの本当の関係なんて本気で知りたいと思っていないだろうし、出逢った経緯にもそれを取り巻く状況や理由にも関心は無い筈。
彼女達が唯一興味を持っているのは、ミケの容姿とご両親が築いた財産のみ。
ミケという人間と関わる事で自分達に齎【もたら】されるであろう利益と不利益を天秤にかけているだけ。
不利益な事が多いと遠巻きに傍観を決め込み
利益が多いと少しでも近付きたいと思う。
自分勝手で傲慢な考えが言葉の端々に見え隠れする。
自由気儘に喋る会話のから私はそれを嫌って言うほど感じ取っていた。
いつだったか、ミケが言った言葉。
『ミュウは俺自身を見てくれる』
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