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「え?そうなの?」 『やっぱ知らないんだ。見てみなよ』 女の子Aに促されて、私はネクタイの裏を覗き込んだ。 ネクタイの下の隅には確かに“T.KISARAGI”と刺繍が施されていた。 鮮やか赤色のネクタイに落ち着いた色調の赤色の糸で施された 刺繍はよくよく見ないと気付かないようなものだった。 『要は、マーキングみたいなもので“こいつは俺のだから手を出すなよ”っていう牽制なんだよね』 …知らなかった…。 そんな意味があったんだ。 『このネクタイって如月くんから貰ったんでしょ?』 「…うん…」
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