放課後放送部

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 晴海高校。  あたしが通うことになったこの学校には、一つの伝統があった。 『今日は新入生の皆さんが初放課後ラジオ試聴、ということで。まずはこのコーナーです!』  部活終了後30分だけ与えられている、特別校内放送。それが、《放課後ラジオ》である。 『題して……晴海高校、通ってみたらこんなとこだった!!……っておい。これ新コーナーじゃん。聞いてないし』  教室に残っている数人から苦笑が漏れた。  聞くのは別に義務ではない。事実帰ってしまった子も多い。だけど将来ラジオパーソナリティを目指し、まさにこれから放送部に入ろうとしているあたしとしては、絶対に聞き逃してはいけない大事な放送だった。  春風吹き抜けるあたしの席に、桜の花がひとひら迷い込む。 『えー、このコーナーでは、二、三年生がこの晴海高校に通ってみて、実際に楽しかったこと、嬉しかったこと、はたまた大変だったことなどをあらかじめメッセージとして募集し、それを一年生に紹介しようという企画です。では早速一通目のメッセージ、ラジオネームGEKIKARAさんから!「え、楽しかったことなんてあったっけ」……これ感想じゃねぇ!!』  絶妙なノリ突っ込みに思わず吹き出した。  聞きやすい速さと声質。  人を引き込む力があるなと思う。  それからしばらく軽快なトークが続いた後、スピーカーからは明るめのメロディーが流れ出した。 『それではこの辺で一曲お送りしましょうか、ラジオネームかしゅーなっつさんからのリクエストで、STARS HEVEN 流星』  
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