TrueEpisode15【残酷な裏切り】

2/7
1837人が本棚に入れています
本棚に追加
/468ページ
 帝学園の生徒は原則的に『学生寮』で三年間を過ごすのが定められている。  世間一般では【監獄】とも呼ばれてはいるが、それは湾曲した偏見だ。  チェックは厳しいものの、外出届を学園に提出すれば普通に外を出歩くことも可能。  だが、それでも生徒の外出届けが極端に少ないのには当然のこと理由はある。  ──帝グループが経営する娯楽施設や生活用品を揃えるデパートなどを利用する際の『特権』があるからだ。  帝学園の敷地内には様々な【転移魔法陣】が敷き詰めてあり、生徒はそれを通して世界各地の場所へ移動することが出来る。  転移魔法を使用した場合、使用者の身体には探索用の魔法が自動的に付与される仕組みであり、帝グループが経営する建造物から一歩でも足を出した瞬間に強請帰還する魔法が施されている。  学園の機密を守るための措置であり、徹底した管理のもと生徒に【制限】を義務付けていた。  ──では、そんな行動範囲を制限された生徒が誰一人として異議申し立てをしない理由は何なのか?  先程も述べた『帝グループが経営するあらゆる公共施設や娯楽施設』に対しての【特権】が関係している。  ──学園の敷地内に施された転移魔法陣から『帝グループ』が経営する施設へと訪れた場合のみ【特権】を与える。  つまり、生徒に与えられる【特権】とは『学生割引』のこと。  【帝グループ】が仕切るあらゆる施設を利用する際に、学生証を提示すれば『割引』される仕組みだ。  しかも、『割引』とは名ばかりで実際に負担する金額は微々たるもの。資金に乏しい学生には願ってもいない【特権】である。  生徒の私生活に潤いを与えるのを条件に、彼ら──【帝】は徹底した【制限】を与える。  まさにこれは【ギブアンドテイク】の関係。  厳しいカリキュラムを課せられた『実験動物』に施すせめてもの【慈悲】である。      
/468ページ

最初のコメントを投稿しよう!