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公共機関、経済、文明の利器に発展した都会から離れた場所────。
そこに、緑覆い繁る森林地帯があった。
国が保有する自然地域ではなく、個人名義のれっきとした私有地。
その距離はまさに広大。故に、東京ドームで比較できる程ではない。
そんな人気も皆無な場所に建つ、一つの洋館が存在した。
この場には相応しくない、別空間を思わせるその建物は、森林が繁る中央付近にポツンと建てられていた。
聳え立つその洋館────ある者達がそこを“会合”の為に利用している。
雄大な門をくぐり抜け、建物内を真っ直ぐに進んだ後、突き当たりにその場所はあった。
扉を開け放ち、そこから複数の声が交互に飛び交う。
「──やっぱ、男の魅力はどんな苦境にも挫けない鋼の魂だとボクは思うんだよ。例えば、金髪碧眼の可愛い幼馴染みに酷く罵られようと不屈の魂で立ち直ってアプローチをするとかさ」
「──ああ、忍耐だけは必ずしも男が持っていないといけない感情の一つだな。例えば、年上の癖に気弱な幼馴染みが会話すらしてくれない時にじっとそれに耐える根性とか」
「──はっはっは、紳士は常に動じない挫けない諦めないを信条にしているのだよ。まあ、僕にはまだ運命の女神は現れてはいないのだけれどね」
『…………』
男同士で楽しく『魅力』について話し合う様子と、先程からじーっと黙ってそれを聞き流している少女が“四人”もいた。
その誰もが見惚れるような美貌を持ち合わせており、先程から会話を弾ませている男達三人も皆一様に整った造形の顔をしている。
この美男美女の集まりが何故、こんな辺鄙な場所に集合しているかと言えば、理由は至極簡単。
合計七人────共通する“何か”を持っているからだ。
そう、どこかで記述した通り────【神ノ欠片】(カミノカケラ)と呼ばれる者達である。
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