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造形の整い過ぎた顔立ちに、均整のとれたプロポーションは最早自然の身体とは思えない。
女神と言われても納得出来る気がしてきた。
「……いけない」
ハッと目が覚めて、自己嫌悪。
先程、自分からむず痒いと感じたばかりなのに、今度は彼女を賛美の対象にしてどうする。
結局は自分も彼女の美貌に見惚れていただけらしい。
「……所で、さっきの答えだけれど」
「え?」
不意に御命が隣から身を寄せ、囁くようにして口を耳元に寄せてきた。
耳に触れる吐息にドキリとしたのも束の間、彼女は慎にハッキリと告げる。
「(“私たちは遥か昔から繋がっているのよ。神の欠片として、ね”)」
ニヤリと、彼女は口元を歪めて笑う。
「……は、え?欠片って──」
何かの例えか比喩か、今の慎には輪廻の告げた言葉の意味を理解することは出来なかった。
その胸に、一抹の不安だけを残して。
その後の時間はただ、過ぎていく。
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