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突然だが自己紹介したいと思う。
僕は御堂 慎(みどう しん)。
ありふれた家庭の、一般的な人間だと自負している。もっと端的に言えば『普通』
故あってこの一軒家の家事炊事全てを担当していたりする。
勿論、こんな広い家を一人で持て余しているわけではなく、
「──朝からお姉ちゃん参上!!」
噂をすれば、だ。
部屋のドアをノックすらせずに飛び込んできた一人の少女。
身体的特徴を細かに挙げるとするなら、艶やかな漆黒の長髪に日本人特有の黒い瞳。
均整のとれた抜群のプロモーションは、パジャマの上からでもその起伏の完璧さを際立たせていた。
身内贔屓かもしれないが、そんじゃそこらのモデルなんかより美しい。
「……おはよ、姉さん」
こんな絶世の美女が僕の姉なのだから、鼻高々である。
近所でも仲良し姉弟だと認知すらされている。 もう“十六年間”の付き合いだから当然か。
……長々とした説明はこのくらいにして。
「毎回口を酸っぱくして言ってるけど、ノックし てから入ってよ姉さん。プライバシー云々は僕に もあるんだよ?」
日常茶飯事となりつつあるこのやり取りすら、 僕は不思議と不快感は無かった。
が、叱れた当の本人はきょとんと首を傾け、
「慎くんが私のショーツをお供に自慰行為している所を目撃しても、お姉ちゃんは全然構わない よ?というか寧ろ見たい」
「うぉぉぉあああああ!!女の子がそんな下品な事を言わない!!」
補足、かなり無礼な姉です。もう身が持たなくて鬱になりそうです。
世間一般の家庭の姉弟事情といえば、こんな風に朝から弟の部屋に飛び込んできたりしないし、和やかに会話すらしない。
弟の性事情に対して清々しく茶化したりは断じてしないのだ。
つまり、僕が言いたいのはただ一つ。
この姉────。
「私の可愛い可愛い弟が妄想で私をひん剥いて調 教している場面を想像するだけで……お姉ちゃんも濡れちゃう」
超・弟溺愛主義者だからである。
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