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「ほらほら、子供みたいに拗ねないでよ。大人は大人らしくクールでいないと。ただでさえ母さんはご近所から『子供みたいな母親』とか言われてるんだからさ」
「なぬっ、私のそんな噂が流れているの!?」
話を聞いた途端に、朔夜は勢いよく起き上がってその表情を驚愕へと変貌させる。
それと同時に、彼女は表情と口調を変えて喋っていた。
「──あら、あまり芳しくないわね。周りにそんな間違った見方をされてるなんて」
フッ、と。口元に手を当てて、いかにも『私は全然気にしてません。寧ろ冷静沈着に物事を捉えています』といった風な態度に豹変。
が、
「……ぷっ」
慎は堪えきれずに吹き出していたから。
「あー、酷い~。結局笑ったよぉ」
「あはは、ごめんごめん。どうにも『無理にクールなキャラを装ってる子供』にしか見えなかったから思わずね」
「どう足掻いても、根本的な性格の所為でどんなキャラも演じるだけ無駄骨じゃない」
しょんぼりと肩を落とす朔夜ではあったが、直ぐに気持ちを切り替えてにんまりと笑顔を浮かべる。
楽天家なのも彼女の特徴の一つだといえる。
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