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さて、突然だが問おう。
姉弟然り、兄妹も然り。
本来正しい血縁者との間柄は、割と幼い頃から上下関係が確立しているものである。
それはこの俺────【結城 秀一】もそれは同じ。故に、切実に意見を求めたい。
何故……何故に俺はっ、
「ほら、さっさと行くわよ無能兄貴。今日は私の買い物に付き合ってもらうんだからね」
「うっ、ぐっ、分かりましたから、鳩尾を執拗に殴らないでください!」
こんなにも情けない姿を晒さなければならないのだ!
兄貴が妹の召し使いに成り下がっているではないか。主従権の奪還を本気で願いたい。
季節は春。暖かな風に、満開の桜並木。
つい先週末に高校の入学式を終え俺は高校一年生となった。
順風満帆なスクールライフを目指しつつ、今年こそは彼女ゲットの目標を胸に秘めている。
しかし、
「キリキリ動く!財布は持った?ちゃんと施錠はした?」
「はぅん!問題ありません!」
ゲシッと足蹴にされ、俺の妹──【結城 瑠璃】(ゆうき るり)に命令されていたから。
「(くぅぅぅうううっ!何故に俺は妹に逆らえないのだ!!)」
今の俺はきっと血涙を流していることであろう。それほどまでに不遇を嘆いていた。
この一連の流れで既にお察しのことかと思うが、俺と妹は休日に街へと赴く予定だったりする。
まあ、折角の休日だし羽を伸ばすのは俺としても文句はない。
……奴隷には行動の自由が与えられていないん だけどね。
……自分で言って泣けてきた。
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