TrueEpisode1【違和感】

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   神よっ、この横暴な妹に一矢報いる好機チャ ンスを!  救いの手よ、今すぐ俺の元へ!! 「……っ」  願う。とにかく願う。  こんな不幸な自分の状況を変える救世主様が現れてくれることを。  だが、案外神様は近くにいたようだ。  何故なら、 「──あれ?瑠璃ちゃんもお出掛け?」 「はひゃい!?」  並んで歩く俺と瑠璃を呼び止める声がした。  ビクッと、跳び跳ねるように肩を震わせたのは紛れもなく瑠璃であり、そんな過剰反応をさせる相手は他でもなく『アイツ』しかいない。 「よぉ、慎。タイミングばっちりだぜ」 「どういたしまして?」  素早く駆け寄って肩を組む俺。  お隣で幼馴染みの彼──【御堂 慎】がそこにはいたからだ。  まさに救世主さま!持つべきものは幼馴染みだよな! 「はわ、はわわわわわ!し、しししし慎さん!?」  我が妹ながら凄まじい動揺ぶり。まだまだ幼さは残るものの、端正な顔立ちは真っ赤に茹で上がっていた。  と、徐に手櫛で髪を整えてから『こほんっ』と軽く咳払いする瑠璃。  茶髪のセミロングが揺れ、毛先が空中を掻く。  態度が百八十度変わったと驚くことなかれ。これが『猫かぶり』の妹だ。  よく言うだろ?女は誰しも二面性を持ち合わせているってな。 「ぐ、偶然ですね!慎さんもこれからお出掛けですか?」  ぷっ、『ですか?』だってさ。急に『ですます』調になっても違和感が半端ないから。 「うん、奇遇だね。瑠璃ちゃんも秀一を荷物もちにさせてお出掛け?」  うぉいっ、まさかお前まで俺をそんな目で見てたのかよっ!?  感謝の気持ちが薄れちまっただろ。 「いえいえいえいえ!!そんなまさか!私がそんなコキ使うみたいな横暴なことはしませんよ!!」  ダウトっ!貴様は嘘をついている!!  さっまで俺を奴隷みたいに扱っていた上に、費用だって兄貴に払わせようとしてた! 「そっか、瑠璃ちゃんは優しい子だもんね」 「はぅ……」  頭の上に手を乗せ、慎は優しく瑠璃の頭を撫でていた。
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