桶狭間までの2年間

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3月、決戦まで後2ヶ月となったこの日、虎一はある目的のため、志摩に来ていた。 志摩は、九鬼浄隆が支配していたのだが、 志摩の支配を我が物にしようとした、伊勢国司 北畠具教が、 九鬼家と同じ水軍衆の小浜景隆ら志摩国の国人達を使い、 九鬼家の本拠地 田城を攻めさせた。 この戦で、城主 九鬼浄隆は戦死、 弟の嘉隆は、九鬼一族を連れ、朝熊山に逃亡した。 虎一の目的は、この水軍衆である九鬼一族を家臣に加えることであった。 朝熊山の梺にたどり着いた虎一は、九鬼家の者と接触すると、 九鬼嘉隆の下へ案内してもらうのであった。 朝熊山の奥に案内されると、 今にも崩れてしまいそうな屋敷が見えてきた。 虎一は、案内されるがまま、屋敷の中に入るのであった。 九鬼嘉隆と思われる人物の前に座ると、 嘉隆「私は、九鬼嘉隆と申します。」 虎一「俺は、陸奥虎一だ。 今は浪人だが、2ヶ月後、三河を統治する予定だ。」 嘉隆「それで、私に何用でしょうか? 私をご存知なら、私が置かれている状況も、分かっておられるのでは?」 虎一「俺の家臣になってもらいたい。」 虎一は、単刀直入に嘉隆に伝えた。
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