町へ 学園へ

3/13
654人が本棚に入れています
本棚に追加
/185ページ
村を出ておよそ30分。 向かうは村に1番近い大きな町。 近い、とは言っても村から歩いて6時間はかかるのだが。 「ハァ…」 軽くため息をついて、右手に持つ、大きなトランクを忌々しげに見る。 今日運ぶ荷物は少ない、とは言え、重いものは重いのだ。 「だりぃ…」 足を止めて、トランクに右手をかざす。 「【Gravity magic1 ライト】…」 途端に軽くなるトランク。 首をこきこきと鳴らす。 「づがれだ…」 魔法を使うのが、ではなく、歩くのが。 …というか、飽きました☆ だって、自分の右には少し薄暗い森。 左にはただの草原。 これに少しでも可愛く、大人しい魔物がいるのならば目の保養となるだろう。 だが、こんな緑ばかりの景色など…。 「(視力的な意味ではなく)目が悪くなるだけだろうがぁぁぁぁぁあああああ!!!」 俺の心の叫びは雲1つない空に、虚しく響くだけだった。
/185ページ

最初のコメントを投稿しよう!