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村を出ておよそ30分。
向かうは村に1番近い大きな町。
近い、とは言っても村から歩いて6時間はかかるのだが。
「ハァ…」
軽くため息をついて、右手に持つ、大きなトランクを忌々しげに見る。
今日運ぶ荷物は少ない、とは言え、重いものは重いのだ。
「だりぃ…」
足を止めて、トランクに右手をかざす。
「【Gravity magic1 ライト】…」
途端に軽くなるトランク。
首をこきこきと鳴らす。
「づがれだ…」
魔法を使うのが、ではなく、歩くのが。
…というか、飽きました☆
だって、自分の右には少し薄暗い森。
左にはただの草原。
これに少しでも可愛く、大人しい魔物がいるのならば目の保養となるだろう。
だが、こんな緑ばかりの景色など…。
「(視力的な意味ではなく)目が悪くなるだけだろうがぁぁぁぁぁあああああ!!!」
俺の心の叫びは雲1つない空に、虚しく響くだけだった。
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