人助けは主人公の仕事

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さっきは悪かったな。 回想の続きだ。 あれから2年経ったある日。 俺たち兄弟は5歳の誕生日を迎えた。 この世界では5歳になると同時に魔力検査が行われる。 …察しのいいヤツなら気づくだろう…。 なぜ俺は生まれたときから魔力量が分かっていたのか…。 それは親父が俺の遊び道具に魔力測定器を渡したのが始まりだった。 王の素質はあるんだが…親としてそれはどうなのか…。 そういえば母さんに城の敷地内の端から端までぶっ飛ばされてたな…。 …ま、今はそんなことはどうでもいい。 それよか、魔力検査の話だ。 大袈裟だけど、この日から俺の運命の歯車は狂った。 いや、あの塊にぶつかったときからか…。 なんと俺の魔力は5歳児の魔力の平均の10分の1にも満たなかった。 両親は少しどこらか、多くの魔力を封印してしまったらしい。 その場にいた俺を嫌うヤツらは俺を嘲笑い、両親は自分たちの失態に失望した。 兄貴はキャッキャと楽しそうに騒ぐ。 俺を嫌う妹は大人たちの反応に満足し、子供とは思えないほどおぞましい笑みを浮かべる。 そして俺は妹の『能無しは牢獄行きよ』の一言により、牢獄暮らしを余儀なくされたのだった。
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