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今日も夜は訪れる。多くの動植物は夜と昼とで、活動時間が分かれるものだが、人間の中には、夜も昼も活動する者もいる。かと思えば、夜も昼も活動しない者もいる。夜に活動し、昼に休息を行う者もいる。その逆も然り。もしも、人間と同じ位に高度で異様な頭脳を持った存在がいたとすれば、「ニンゲン」という種に興味を持ったことであろう――と思いきや、その「ニンゲン」の中には「ニンゲン」を観察する者もいるというのだから、驚きであろう。どこまでも異様、しかしそんなニンゲンでも、多くは気付かない。自分自身の存在というものを。
『cogito ergro sum』――我思う故に我あり。
『humane』情け深い『being』存在
多くの『ニンゲン』は自分が『人間』である事に気づかない。或いは気づこうとしない。そうして、無為な時を過ごす。ただ、黙々とこなし、築き、果てて、去っていく。
但し、たとえ『ニンゲン』が『人間』であると自覚したところで、そこに大きな変化は無い。宇宙を識る。ただ、それだけのことである。
所詮、人の存在等、宇宙が生まれてからこれまでの時間に比べれば、ちっぽけな存在である等という使いまわされた洒落のつもりはない。所詮、宇宙の真理に人は及ばないと思う事自体が、思考の放棄。手を伸ばしさえすれば、こんなにも単純な事だと識るというのに。
時たま、それに気付いた人間に何かしらの変化があるとすれば、自己の変容。
今宵もまた、一人の『ニンゲン』が『人間』へと変わる。その物語をこれから聞かせるとしよう。
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