E☆エブリスタ公式アイドル

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E☆エブリスタ公式アイドル

  月野雪乃は、女子中学生である。スポーツこそ苦手なものの、頭脳明晰容姿端麗、いわゆる才色兼備には間違い無いのだが、 「覚醒の儀式を終えた。一般兵装に換装する」 午前7時。枕元でけたたましく鳴動する携帯電話のアラームを止めて、制服に着替える。強大過ぎる力を押さえ込むため、術式を仕込んだ眼帯の着用も欠かせない。 カーテンを開けると、差し込んだ朝日がくたびれた畳敷きの自室に平行四辺形を描く。西側の壁を突き破って天井へ突き抜ける楢木の枝が、新鮮な陽光を吸い込んでみずみずしい光を湛える。眼下には三階建ての自宅の玄関と、ゆるゆると回転を続けるトーテムポールの頭が見えた。 「さて。本部に昨日の戦果を報告せねば」 報告には、E☆エブリスタという携帯小説サイトを用いる。下手な暗号通信を使うよりも、携帯小説という文学表現をカモフラージュに堂々と公開してしまった方が、逆に敵から見つかりにくいのだ。 いざ参る。月野雪乃が不敵な笑みと共に携帯電話のスリープを解除した瞬間。 未読メール有りのアイコンが、光っているのに気付く。意図せず、びくりと心臓が飛び跳ねる。 犬咬詩戸と名乗った少年の鋭利な顔立ちが脳裏に去来する。邪悪なるイカゲソ神族に対抗し得る人材として咄嗟にスカウトしたまでは良かったのだが、いざ連絡を取ろうとすると何を書いたら良いか分からずに、手が止まってしまうのだ。 何をしているのだ、ダークスノウ。こうしている間にも彼に邪悪なるイカゲソ神族の洗脳の魔の手が伸びるかも知れないというのに、いや、でも本当に何を書いたらいいの? 変な事書いて嫌われたらどうしよう。いやいや、今さら何を恐れているのだ。私はその強大すぎる力から過去の記憶を奪われ、全ての元凶たるイカゲソ神族との戦いに身をやつす堕ちた英雄。失うものなど何も無い。あの男、犬咬詩戸といったか。格好良かったなぁ……、じゃなくて! 彼の力は強大なイカゲソ神の魔力に対抗しうる貴重な戦力たり得るのだ。共に戦うべき仲間なのだ。そして激しい戦いの中で互いの力を認め合い、友情が芽生え、やがて友情より強い絆で結ばれて愛の力でイカゲソ神を撃ち破りその後って違っ! 何考えてるのダークスノウ!! 私は既に女を捨てた身、恋とか愛とか知らないんだからっ!! などと悶々しているうちに、昨晩は睡魔に意識を喰い尽くされたのだった。  
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