1章 2013年

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「おはようございます!」 今日も元気いっぱいに挨拶をする。 まず皆で集まり安全確認から始まり、各自作業に取り掛かる。 今日の私の仕事は荷物整理と他同僚の作業の補佐。 「やっぱり女の方が綺麗に片付けるよなぁ。」 皆私にそう言って、荷物整理はいつもわたしの仕事になっている。 そんな私も家の片付けは苦手なんだけどね(笑) 仕事だから、できるだけ綺麗に片付けられるように気をつけているだけ。 休憩時間になり、頭に巻いたタオルを外し、顔や首に流れる汗を拭く。 休憩所に行くと仲のいい同僚、田所建一がいた。 田所さんは私よりも6歳年上の先輩だ。 と言っても、私が入社する1年前に入社しているから1年だけ先輩。 結婚してから前の勤め先よりも給料のいいこの会社に転職したのだそうだ。 「今日も暑いですねー。」 そう声をかけると、おう!と言いながら手を上げ手招きをする。 田所さんの隣に座ると缶コーヒーを手渡してくれた。 気前のいい人でよく私に奢ってくれる。 「ありがとうございます。今度は私が奢りますね。」 「気にすんな!女に奢られるなんてかっこ悪いじゃん。」 田所さんは立ち上がり、自動販売機の横にあるゴミ箱へ空き缶を捨てる。 そのまま休憩所をでようとしていた田所さんは、急に私のほうを振り返ると大きな声で叫ぶ。 「柿本!!監督が休憩終わったらこい!っつってたぞ。」 「はいはーい!」 手を上げながら返事をすると、田所は歩いて行く。 「また何言われるんだか...。」 ふぅと息を吐くと、缶コーヒーを開けグッと飲む。 つなぎのポケットから煙草を取り出し火を着ける。 いつもより早く煙草を吸うと、残りの缶コーヒーを飲み干しゴミ箱へ捨てる。 「いざ、出陣!!」 小さい声で呟くと、現場え向かって歩みを進める。
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