永久の記憶

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満点の星空 黒く透き通った闇夜に浮かぶ星々は、まるで地上世界をのたうち回る人々をあざ笑うかのように、力の限り輝いている 彼らの立ち位置は驚くほど整っており、屋根裏部屋から空を見上げる少年たちは、星座作りに退屈することはないだろう だが、よく見てみると少なくない違和感を感じるのも、驚きを助長させている原因の一つのようだ 中規模の街の明かりが森林地帯を照らす中、北に位置する山脈の向こうから、二つの三日月が仲良く顔を覗かせている 現実的に考えて、存在する筈のない物体が、空に燦々と浮かんでいるのだ 信じられないような情景ではあるが、この世界の住人、そして異世界からの来訪者達は、そんなことに目を向けている余裕はないようだ 先ほどから森の中を何か巨大な物体が這いずり回り、猛烈な爆発音がその周囲で炸裂しているのだ
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