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地上の森林地帯とその僅か上空
そこが、彼ら囚われた人類の希望と絶望の狭間であった
「アイラ!もう少しスピードを上げてくれ!でないと地上班が全滅しちまう!!」
「やってるよ!でもこれが限界なの!!」
地上からおよそ20メートル程の高さを疾走する二人の人物
一人は全身黒を基調とした衣服に包まれており、風に揺れる黒いマントと髪の毛が印象的な少年
もう一人は少年と同年代の少女で、こちらもストレートの黒髪が思わず目を引いてしまう
「討伐パーティーはほぼ壊滅状態だ…!なんとか専衛軍の防衛線まで誘導しないと!!」
少年が背後に振り向きながら、手の平に出現した火球を地上めがけて投げつける
「セシル!後ろを向いたらスピードが落ちる!」
「仕方ないだろ、タゲを取ってるのは俺だ!俺が引きつければ地上の連中は死ななくて済む!」
「だからって…!?」
顔を突き合わせる距離で会話をしていた二人が、突如左右に高速で散開する
と、その後を少年ーセシルが放ったものより数倍は大きい火の玉が通り過ぎていく
「他ギルドで動けそうなところはあるか?」
「…《三毛猫同盟》と《Angelbeat》は無理だね。辛うじて残ってるのが《マザーウッド》と《アニマル騎士団》かな…」
目の前に浮かぶウィンドウを指でタップするアイラが感情の無い声で答える
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