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一通りの交信が終わると、地上戦を担当していたギルドのメンバー達が次々と森の中から飛び出してくる
軽く見ただけで明らかに人数が減っている討伐パーティーの面々は、文字通り満身創痍の状態で飛んでいく
中には余りにも怪我が酷いため、仲間に連れられている者や、移動速度重視のペットの背中でぐったりしている者もいる
「うっ、うわぁぁぁぁあぁあぁ!!くっ、くるなぁあ!!」
森中に響きわたるような絶叫が聞こえ、そちらの方角に視線を向けると、今まさに飛び立った直後の戦士風の男が
必死の形相で物を投げつける先には、黒光りする鱗に覆われた巨大な二つの光眼、ノコギリのような鋭い歯列、太く長い首と翼を備えた胴体
この地帯一帯を縄張りとする、巨神龍タラスクの姿がそこにあった
奴の吐く強力な炎弾と毒性を含んだ唾液は既に何人ものプレーヤーを胃袋に送り込んでおり、まともに戦闘を行うことすら困難を極めていた
そんな生きる厄災の、新たなる犠牲者が生まれた
目にも留まらぬ早さで突き出された首が上昇途中にあった戦士の足を食いちぎり、バランスを失った彼は錐揉み状態で落下していく
派手に舞った鮮血が彼の後を追い、深い森の中に消えていった
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