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風鈴
母親の様に暖かく僕を包み
父親の様に厳しく僕を叱り
兄弟の様に愉快に遊ぶ
時には
恋人の様に僕と踊ってくれる貴女は、僕の欲しかった物の全てです
激しく
時に緩やかに
貴女は野花の香水の香を纏わせながら
僕に躯を預けたと思ったら離れ、そして亦接近し、
パッと躯を跳ね上げる
気が付けば貴女は他の男の手を取って居た
そんな貴女の踊りは
まるで貴女自身の人生の様
自由で、奔放で
何より気紛れ
社交ダンスからフォークダンスだ
けれど逆に忙しい人生
だからこそ共に休んで話がしたい
貴女が見て来た世の中はどうで
見て来た人間達がどうで在ったか
積もる話も在るだろう
だから僕は亦、貴女に来て欲しくて
振り向いて欲しくて
服装を変えたり
声を出したり
戻って来てと呼び掛ける
何故なら僕の命は
夏の間だけだから
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