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床に倒れた少女を壁にもたれさせ、部屋の中を見回した。
少し散乱しているが、絵画や彫刻が飾られているので美術関係の部屋なのだろう。
「安全に休める場所?学校ならせいぜい保健室ってところか」
「まあ、そうなるな。とりあえず彼女を連れ行こう。こんな場所でほっとく訳にもいかないしさ」
すやすやと眠る少女を背にして答える。
「……出来れば近くに病院があればいいんだけどな」
不意に呟いた言葉に、男がピクリと反応した。
「そういや病院みてぇな建物がさっきあった!」
「本当か!……どこに?」
予想外なその言葉に、思わず拳を握りしめる。
「確かお前に会う少し前に透明な窓があって、そここから見えた気がしない訳でもねぇ」
「なんだよその喋り方は……。とにかく案内してくれ」
それを聞いて男は再び頭を掻いた。
「ああ。案内するのはいいけど……そいつはどうするんだ?歩けねぇだろ」
そう言いながら視線を眠った少女に向ける。
「もちろん案内と運ぶのはあんたに任せるさ」
「何サラっと言ってんだよ!……ったく、無茶苦茶な奴」
「そうと決まればレッツゴー」
呆れ果てる男を強引に押しながらも、少女を背中に乗せさせ部屋を出た。
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