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二人で単調な会話をしながら廊下を歩く。
「あとどれくらいでつくんだ?」
「俺の記憶じゃぁ、そこの門を曲がったら直ぐだったぜ」
「あんたの記憶ねぇ……頼りになるのかよ」
少女はいまだに眠ったままだけど、長身なこともあり男の大きな背中で気持ちよさそうに。
……長身なこともあり……長身なことも……長身……。
「……なぁ、俺より前を歩いてくれねぇか?お前が後ろにいると妙に不安になる」
そう言って冷や汗だらけの顔を見せてくる男。
仕方なく男の直ぐ前を歩くことにした。
目の前にある角を男の指示に従い右に曲がる。
その先はどうやら学校の玄関らしく、いくつかの下駄箱や傘立てが設置されていた。
さらに進むと、全開になった曇りガラスの扉の向こうに。
赤い十字架マークの建物が姿を現した。
「どうやらここが出口みたいだな。……にしても、あんたが言ってた透明な窓なんか無かったぞ?」
「…………。そうか、なら早いとこ外に出ようぜ!案の定病院もあるし!」
変な笑みを浮かべてそう言った男。
妙な違和感を感じながらも、男の言葉通り出口へと足を進める。
「……変な事考えてないだろうな?……膝カックンとか」
「やらねぇよ!」
「まさか!……肘カックン!?」
「いや、やらねぇって!…………肘カックンってなに?」
「知らないのか。確か52の間接技の一つだ」
テキトーに答え、学校から出ようと開かれた扉に差し掛かった時。
――ガン!!
硬い壁にぶつかる感触とともに、体が弾き返された。
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