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反対側の下駄箱に、少女を背負って何かを探している男の姿。
「……ねぇな。……ん?なんだお前もこっちを探すのか?」
「もう探さなくていいぞ。割りと簡単に地図見つかったから」
振り向いた男に携帯の画面を見せつけた。
携帯を見て一瞬困惑した後。
「誰かに電話してみたのか!?」
それなりにうるさい男の声が、玄関内に響きわたった。
「……一応な。でも駄目だった。原因はわからないけど……どこにも繋がらない」
少々暗い話題になるので、声は控えめトーン。
「そっか。なら保健室に行こうぜ!もちろん地図に載ってたんだろ」
「……え?――あ!当たり前だ!よし、案内はまかせとけ!」
落ち込むとか責められるとかを少しでも思ってた。
でも予想外に前向きな男の言葉に、なんか勇気付けられた気がする。
思わず溢した笑み。
それを運ぶように、地図に描かれた保健室の道へと足を進めた。
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