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しゃがみ込み、見下すような姿勢になる男。 「せっかく起こしてやったってのに、うるさいだと?お礼と言う言葉を身に染み込ませてやろうか?」 「普通に嫌だけど」 言葉に即答されて、今にも殴り掛かって来そうな男の目が。 それをなだめるように、立ち上がって自分なりの丁寧な口調で男に尋ねた。 「ここはどこですか?そしてあんたは誰」 「はっ!そんなこと分かってりゃあ、お前なんか無視して帰るっての」 男は苛ついた態度を抑えると、言葉を続ける。 「たまたま通った道にお前が寝てたから、何か知ってるんじゃないかって思って起こしただけだよ」 ……やっぱり。こいつはうるさい。 にしても、自分は何でここにいるんだ? 思い出そうとしても、何も浮かんでこない。 心当たりのある単語の一つすらも……。 まるで、自信の記憶そのものが消えたみたいに頭の中が真っ白。 「……まさか、お前も何も思い出せないのか?」 こちらの顔色を見て、おおよその事は理解したであろう男はそう言った。
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