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泣きじゃくる少女を、なんとか落ち着かせようと奮闘していると。
――ガララ
引戸が滑る音が聞こえ目を向ける。
視界の先には、長身の男が呆れた表情で、頭をポリポリと掻いていた。
「あのなぁ、ちょっとはペース落とせよ。
普通は泣き声が聞こえるヤバそうな部屋に飛び込んだりしねぇ」
「仕方ないだろ、あんな状況じゃ……」
そう言いながら、男から視線を反らすように少女を見る。
「……ごめんね。……私なんかのために」
泣きつかれた様子で静かに微笑んだ後、少女はゆっくりと目を閉じた。
そして糸の切れた人形みたいに「バタン」と倒れる。
慌てて駆け寄り、すぐさま様子を見た。
「おい、大丈夫なのかよ!?」
その光景に、不安そうな声をあげる男。
「……ああ、大丈夫だ。でも疲れがたまってる様子だし、安全に休める場所まで運んだ方が良いかもな」
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