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公園に差し掛かる。
この公園を抜ければガイの家はすぐそこだ。
歩いているネジの足が止まる。
否、止める。
リーが不思議そうな視線を向けてくるが、無視だ。
このままでは飛んで火に入る夏の虫…よりも熱い思いをする羽目になるだろう。
いや、熱苦しい思いというべきか。
とりあえずこのまま行くなんて以ての外だ。
そのまま体を反転させ、もときた道を戻……れなかった。
リーに腕をホールドされているのだ。
「ネジ! どこ行くんですか!?」
腕にしがみつくリーを振り払う。
が、再びしがみつかれる。
「帰る」
「なんでですか!」
「言うまでもない!!
どうせまたろくでもないことになるに決まってるだろ!」
「そんなことありません!!」
しがみつき、振り払い、またしがみつく。
はたからみればじゃれあっているように見えなくもないが、本人達は至って真剣だ。
焼け付くような日差しとセミの合唱の中で、睨み合いながら掴み合う男2人。
その光景はもはや暑苦しいもの以外の何物でもなかった。
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