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僕の家は日舞を教えている。 僕も小さい頃から当たり前のようにやっていたから、立ち振る舞いにシナが付き、女みたい な顔立ちも災いしてからかわれるようになっ た。 無視するのが一番だと流していたが、ある日 からかった男の子たちを諫める人があらわれ た。 「恭哉はキレイなだけだよ」 優しい声色だったのに、反対の声は言わさない冷たさ。 からかっていた子達はみんな黙ってしまった。 「剣さん?」 助けてくれたのは、一コ上の近所に住む神木 剣-かみき つるぎ-さん だった。 彼の家は剣道を教えている。 その凛とした雰囲気は身についたもの。 日舞の我が家と近所で、家族ぐるみで仲が良く、よくお邪魔していた。 剣さんには面倒見てもらったりした。 しかし、学校では学年も違うしなかなか会わないのに… 何故なんて聞かなくてもわかった。 前に遊びに行ったとき、元気のない僕の話を聞いてくれた。 その時にからかわれるのが辛いと漏らしてい たんだ。 剣さんは心配してわざわざ一年下の僕のいる階まで見に来てくれたんだ。
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