3人が本棚に入れています
本棚に追加
/22ページ
「たいち君はだれが好きなの?」
川背幼稚園の園児、女の子達の中にたいちは居た。
どちらかと言うと女の子の友達が多く、
そんな話題が出たのは
少し大人びた雰囲気をした女の子からだった。
たいちは顔を赤くして
園長先生の側に、ぱたぱたと走って足に抱きついた。
気が付いた園長先生は、にっこり笑いながら
たいちの頭をヨシヨシと撫で
「どうしたのー?」
と顔を見る。たいちは顔を赤くして
まっすぐ園長先生の目を見ながら
「先生が好き!!!」
かなり大きな声だったのか、部屋に居る園児達の視線が集まった。園長先生は、よりにっこりして
「先生はみんなの事も、たいち君の事も好きだよー」
と答えてくれたが、たいちは頬をふくらませて
「ちがうよ!コイビトとして好きなんだよ!」
それを聞いた先生は困った顔をして、たいちの目線に合うようにかがんで言った。
「たいち君は男の子だからねー、先生も男だから
おつきあい出来ないんだよー?」
たいちは固まった。
『え...そうなの?ダメなの?』
そんな言葉がぐるぐるしてる時
好きな人を聞いてきた女の子が言い放った。
「たいち君何言ってるのー?変なのー!」
『!!!変???』
「はーい!もうお昼休みおしまいですよー!後片付けはじめてねー!」
園児達「はーーーい」
― こうして、俺の初恋は終わりを告げた。―
最初のコメントを投稿しよう!