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「早く起きなさーい!入学式間に合わないわよー!」
母親の大きな声がリビングから聞こえて来る。
「起きてるよ!」
寝癖のついた頭をかき、たいちは起き上がった。
洗面台で顔を洗い、歯ブラシをしながら
『なんだって今さら初恋の夢みるかなぁ...
まぁおかげさまで、シッカリ目覚めたけどね...ハハハ...』
そう、今日は川背高校の入学式。
オレも高校生の仲間入り!
憧れのブレザーにネクタイ!
学ランとはオサラバ!
「よし!」
ネクタイの曲がりを整え鼻歌を歌いながら鏡を見る。ゾク...と寒気がし、背後から
機嫌の悪そうな声にチラッと目をやると...
「ねぇ、おにーちゃん邪魔なんだけど。てか良いよね~ブローとかしなくてもサラサラヘアーの人はさぁ~」
後ろからボサボサ頭の妹が鏡越しにクシとドライヤーを握りしめながら睨みをきかせている。
寝起きがすこぶる悪い妹には関わらないのが得策!
「やべ、時間だ!行かなきゃ」
「あら!もう行くの?早いじゃない」
リビングから顔を覗かせた母親は包丁片手に聞いてきた。
『包丁あぶないと思うんだけど...』
そんな母親を横目に靴をはきはじめたたいちは
背を向けて答える。
「あぁ、なつきと待ち合わせしてるから」
そう言うと母親は顔をにっこりさせ
頬に手を当てながら
「なつき君にも入学おめでとうって伝えてねぇ!」
またか...と、たいちは呆れ顔で
「自分で言えよ近所なんだしさぁ、じゃあいってきます!」
「あ、そりゃあそうね!いってらっしゃーい」
家から最寄り駅までは歩いて10分
なつきの家はちょうど途中の5分ほど歩いた所にある。
御察しの通り母親は、なつきを気に入っている。
なんでも、父親の若いときに似ていてるらしく
身長と顔が好き!...らしい。
『まぁ確かに、なつきはイケメンだけど...てかなんでオレはオヤジの身長を受け継がなかったんだ...はぁ...』
なんて肩を落としながら歩いてると
ポンッと、頭に大きな手が乗った。
「おっはよ」
なつきだ。
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成宮なつき(15)身長179㎝
焦げ茶色の短髪。おおらか。
たいちの幼なじみ。
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