第四章 手術

2/2
12人が本棚に入れています
本棚に追加
/30ページ
四歳のある夜だった。 高熱と同時に左目が痛くて、 おじいちゃんが市内の偉い方だった為、名医を知っていた。 夜中緊急で診てもらい、紹介状を渡された。 次の日から母連れられ、大きな病院に、入院になった。 当時毎日付き添い入院だった覚えが無い。 私の担当医は女医部長で、優しく髪の毛の長いソバージュだった。 曖昧と鮮明な記憶が交差していた。 幼稚園はその間休んでいた。 斜視に左目だけなってしまった。 親からは「目に熱が移った」と聞かされた。 手術の日、 全身麻酔を口から入れるから担当医に、 「苺味とバナナ味とキュウイ味、どの味が好きかな?その味で眠くなるからね」 と言われ、 一番好きなバナナ味と言うのを間違えて、 合判する答えで、一番嫌いな 「イチゴ味」と答えた。 ヤバイ間違えた! と思ったら、微かな苺味と共に眠りについた。 目が覚めたら、 優しい声で母が 「何か食べたい?」と聞いたので、 苦痛左目を耐え 「コアラのマーチ」と答え… 寝ている病室のベッドで少し食べた。 何ヶ月経っただろう… 病院のワインレッドのソファーが列になる自販機の前。 ソファーに座ったり立ちながら、バナナジュースの紙パックをストローで飲みんでいた。 左目が気になり、馴れない赤い眼鏡をかけていた。 別人になったかも様に感じた自分自身が悲しく居た。 母と過ごした病院生活はここに記された場面しか思い出せない。 何より母以外病院に誰も来た記憶が無い… 私はこの手術で初めて、 将来の夢は 「目の手術をする医者」と決めた。
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!