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「腐腐腐腐…あぷり。お前もなかなか腕を上げたな。
しかしオレは後の事は知らんぞ。」
「あぷり。ゴクアクニン。ウニュニュ。」
「えへへっそれほどでもな…」
「まぁヤツの名を出されたら致し方ないか。
そういえばあのBL同人誌の主人公、ヤツの名に似ていたな。猫柳…いやピカタくんの方だっけか。」
「アタタタアタシッ学校行かなきゃっじゃーねおにいちゃん!行くよニックん!」
2人のやたら冷静なツッコミに軽く照れたりしてみたものの
一瞬にして顔面蒼白になったアタシは、関西系暴力団と化したりおママの後を慌てて追いかけた。
一歩外へ飛び出したアタシたちの目の前に広がるのは
バラ、バラ、薔薇。
薔薇に埋め尽くされたこの庭は毎日見てるハズなのに、やっぱり圧倒されちゃう。
「アラあぷり。もうご飯食べ終わったの?」
突然聞こえた鈴の音に振り返ってみると
関西系暴りょ…じゃすっかり無くなったりおママが、薔薇のじゅうたんの中で微笑んでいた。
「りりりりおママッ
ほほ放火魔はっ!?無事は薔薇だったのっ!?」
「怪しい人影が見えたから思わず『飛ばしちゃった』けど、なんとか火は防げたみたい♪
知らせてくれてありがとうね♪あぷり。」
『飛ばす』都内を走ってるアレと一瞬勘違いしそーなヤワイ響きのソレは、関西系暴…りおママの究極魔法。
『飛ばした』相手が一体どこに行ったのかは、りおママ本人すら分からないって言うんだけど…
薔薇たちの煌めきすら背負ってしまうくらいキラキラの笑顔。まぶしいっまぶしすぎるっけど…究極にコワイッ!!
「そそそうっ良かったねぇっ!じじゃあ行ってきまーすっ!」
「行ってらっしゃーい♪ニックん、あぷりをよろしくね♪
アタシも薔薇風呂に入らなくっちゃ♪」
「ウニュ。いってきます。りおママウニュ。」
ただでさえテンパるアタシの背中に、りおママがコンシンの一撃をぶちかます。
「お勉強頑張ってねぇ♪
くれぐれも、ひなたくんばっかり見てちゃダメよー♪」
「ななななんのコトッ!?ババ薔薇風呂が冷めちゃうよアハハハッ!!」
不自然に走り去るアタシたちを見送ると、薔薇の園にそっとため息を落としながら、りおママがポツリと呟いた言葉。
「…あぷり。本当に頑張ってね
この薔薇の輝きが消えないうちに…ね」
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