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「え?え?ナニ言ってるの?おにいちゃんっ
真実ってナニ?てかどこ行くの?」
「海だ。」
「う…うみーっ?!」
兄がオカシイのはいつものコトだけど
誘われて出かけるのなんて多分生まれて初めての経験だしっ
それが突然海とか…なんかイヤな予感フラグ総立ちなんですけど!
でもなんだろう…
なんか妙に行かなきゃいけない気がする。
アタシはアタシ自身に急かされるように
腐腐腐腐と不適に笑い続ける腐った兄の後を恐る恐る追いかけた。
そんなアタシたちを夕暮れの薔薇園が黄昏色を称えて微笑みながら見送っていた。
‡‡‡‡‡‡
呆れるほど広い大海原。
地平線に沈みかけた太陽の光を真正面から受け止めた兄が、腰に手を当てて仁王立ちを決め込んでる姿とか…アタシはともかく、マジでウザイ。
「あぷり。オマエはどう思う。」
「ほぇ…?なんかソレ、前にも聞いたような…
なんのコトなの?てかアタシ、テスト勉強しないと今度こそ落第なんだけどっ」
またまたトッピョーシもない兄のセリフに、負けじと仁王立ちのままのアタシは冷静沈着な答えを返してみる。
「そうだ。オマエももう気付いている通りだが、今こそ明かさねばなるまい。
『セガールプロジェクト』の全貌を。」
「その、なんちゃらープロジェクトAって、かほりちゃんが言ってた…!なんでおにいちゃんまでソレを知ってるの?!
てゆーかアタシはなんにも気付いてないってば!なんなのおにいちゃんっいつもに輪をかけてヘンだよっ!
ニックんも何とか言っ…アレ?ニックんは…?」
いつの間にか姿の見えないニックんに更に動揺を隠せなくなったアタシは、我を忘れてわめき立てた。
「まぁそう騒ぐんじゃないアンポンタンが。
ヤツは無事だ。そのうち分かるだろう。
さて、ポーズもシチュエーションもキメたところで
話してやるとするかな。」
「なんかイッコよけーな気がしたけど…
わかったよ。もったいつけないで早く話してよおにいちゃんっ」
涙目で訴えるアタシの動揺した姿にも動じる気配すらない兄は、意味ありげにそう呟くと静かに語り初めた。
「アレはとある日の午後だった。
オレはオマエを妊娠して間もない母から、この世界にまつわる衝撃の真実を聞かされたのだ。
かつてオレたちのオヤジが…正確にはケンタローの方だが、ヤツが残した壮大なプロジェクトの存在と共にな。」
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