悪の華

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太陽が西に傾き、斜陽がパイレンジャー達に差し始めていた。 「あら!?、大変!!、もうこんな時間だわ!!」 首に掛けた、小さな懐中時計を覗き込み、楓は慌てて白衣を羽織り駆け出した。 「あなた!!、後はお願いね!!、夕飯の支度があるから先に帰ります!!」 「ああ、よろしく頼む、スーツを回収したら戻る」 急に主婦の顔に戻り踵を返した、楓の後ろ姿を見ながら、茜は主婦って大変だなと思いつつ、スーツを着たまま買い物をする姿を想像してクスリと笑みを浮かべていた。 「あっ!!、アナタ!!、今夜はアレだからよろしくね!!」 楓は博士の方に振り返ると人差し指を彼に向け、拳銃を撃つ仕草をとった。 「はぁ…、忘れとったわ…、そのスーツ着せるんじゃなかった…」 天を仰ぎ顔面に右手の掌を当て、博士は大きくため息を吐いていた。 その姿をキョトンとして見ていた茜の耳元で桜がイヤらしい笑みを浮かべて囁いた。 「茜ちゃんにはちょっとH過ぎる会話かしら」 「桜さん、遠回しに言わんと、ぶっちゃけ交尾やろ!!」 貴梨子の金髪碧眼の外観に似合わない関西弁がその可憐なピンク色の唇から飛びだす。 「えっ!!交尾って!?、あっ!!、そうなんだ!?」 その手の話題に疎い、茜もようやく理解できたようだ、凄まじい勢いで赤面していく。 「大人って大変よねぇ…」 桜は夕日を浴びながら、眼鏡の奥の瞳を遠くに向けながら感慨深げに小さく呟いていた。 そんなパイレンジャー達を校舎の陰から見ている一人の女生徒がいた。 背中まである綺麗な銀色の髪とルビーの様な真っ赤な瞳が彼女の外観に華を添えていた。 「楽しみだわ……」 彼女は踵を返すと薄い唇を歪ませ、恐ろしく冷たい笑みを浮かべ歩きだした。 その姿は夕日を受けて血に染まる百合の華を思わせていた。
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