赤眼の女

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その転校生は、ルビーの様な真紅の瞳と銀色の長髪をなびかせて教室に入ってきた。G・W明けの気だるい雰囲気の教室の空気が、一瞬で変わる程の凛とした存在感のオーラを放っていた。 「あー、今日から編入するガーネット=カーバンクさんだ、よろしくやってくれ」 担任がガーネットに自己紹介を促す。彼女は静かに一礼すると赤い瞳が怪しく輝いた。 「こいつ!!、ヤバい!!」 身体能力抜群の葵は勢い良く机を踏み台にしてガーネットの顔面目掛けて鋭い蹴りをぶち込んだ。 「あら、本気で遊びませんの?」 ガーネットは、その端正な顔前で葵の足先を片手だけで易々と止めていた。 「さすがに、安っぽいギミックには、引っ掛りませんわね、ちょっと残念ですけれど……」 ガーネットの唇の端が歪み薄気味悪い笑みがこぼれる。 「なに、笑ってやがる!!」 反撃しようとした葵を制するとガーネットは華やかな身のこなしで葵の身体を拘束し、その耳元に唇を寄せて静かに恐ろしく冷徹なセリフを囁いた。 「貴女のクラスメイト全員、皆殺しにしてさしあげましょうか?」 その美しい顔とは裏腹に腹の底から湧き上がってくるどす黒い悪意と狂気が、表情に凄まじい影を宿していた。 「て、てめえ…、狂ってやがる!!、このクソ女(アマ)がぁ」 「あらあら、年頃の女の子がそんな言葉使いをなさってはダメよ」 ガーネットは葵の胴体に腕を廻し、一気に投げ捨てた、遠慮などない力技だ。
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